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甲本弁護士が肖像権を解説したニュース記事が公開されました

「運転手の顔にモザイクかけて」バス会社の呼びかけ話題、鉄道とバス「撮影・投稿」のルールは?
と題する記事が7月2日付けで弁護士ドットコムニュースで公開されました。

https://www.bengo4.com/c_18/n_13249/

https://news.yahoo.co.jp/articles/8451720ac917947d49e79c4943546d78fa60bbb3?fbclid=IwAR12xYewRqTexPxmtZFGoIB-cYI3nwzfOitsRZYXugoJMPo7DOgthdmJ6ww

<甲本弁護士からのコメント>

掲載サイトの都合もあり、次の解説については省略しました。
(記事を前提とするコメントです)

1 プライバシー侵害以外の論点(運転手の労働環境としての着眼点から)

バス運転手の最大の使命は「安全な運行」です。慎重さを求められる作業の様子を、傍らで撮影されて、それが自分の預かり知らないところでネット公開されるかもしれないとしたら、誰しもストレスを感じるはずですし、失敗を誘発するかもしれません。また、不意な挙動を不適切と言われかねないというストレスもあるでしょう。近時では、運転手の勤務中の不適切と思われる挙動をネットで無断公開するなどの問題もあり、このような行為についてはネット上では批判も多く寄せられているところですが、どちらにしても撮影の態様によっては、安全運行に影響が生じかねないと思います。運転手が運行業務に専念できる環境は、企業として労務環境の整備として法律上義務づけられている問題でもありますので、今回のパス会社のよびかけはそのような意味もあると思われます。

2 肖像権固有の問題

日本には肖像権を明示した法律はありませんが、例えば、ヨーロッパでは早くから「肖像権」が法制化されていました。ドイツでは今から100年以上前に出来た法律(造形美術の著作物及び写真の著作物の著作権に関する法律第22条)で「肖像は、肖像本人の同意がある場合に限り、頒布し、又は公衆に展示することができる。」と規定されており、明確に「肖像権」が認められています。このように、肖像に対する考え方は国や時代によって大きく異なりますが、現在の日本の実務では、写真の被写体(モデル)として人を撮影する場合は、きちんと掲載媒体や利用方法を示したうえで、許諾を本人から書面でもらっておくことが安全とされてます。